「牛タン」ってどんな風にして広まったの? 普通のお肉と比べてヘルシーって本当?

焼肉で一番はじめに焼かれることが多かったり、定食やお弁当、お寿司やお酒のアテのようなものまで、なんだかちょっぴり特別感のある「牛タン」

久々の牛タン定食をモリモリ食べながら「そういえば私の知ってる牛タン知識ってあってるのかな…?」ふと疑問に思いました。

そこで今回は、美味しくてヘルシーだとよくイメージされがちな「牛タン」について色々と調べてみることにしました。

「牛タン」って本当にヘルシーなの?


牛タンとは”牛舌(ぎゅうたん)=牛の舌の部分=日本語の”牛(ぎゅう)”と英語の”tongue(タン)をミックスさせた合成語”で、先端と根で肉質も食感も異なる長さ数十センチの肉塊(畜産副産物)の皮を削いだ食用提供用の正肉部位の呼ばれ方のことです。旧石器時代から私たち人類によって、様々な国で様々な食べられ方をしてきたそうです。  参照元Wikipedia

牛タンといえば美味しくてヘルシーなイメージで多くの男性女性に愛されているイメージですが”脂肪含量が非常に高くカロリーのほぼ75%が脂肪に由来”していて、実はサーロイン肉と大差なく高カロリーです…。

そんなサーロインと比べて

■脂肪をエネルギーに変える栄養素(ビタミンB2パントテン酸)2.5倍

■糖質をエネルギーい変える栄養素(ビタミンB1)2.5倍

動脈硬化脳卒中予防の栄養素(ビタミンB12)10倍

■ビタミンB群が豊富でストレス緩和・集中力向上・不眠症改善・皮膚粘膜の再生

タウリン(加熱しても壊れない)豊富で肝機能強化・運動時血圧上昇コントロールインスリン分泌促進・糖尿病予防

など嬉しい効果もたくさんあります。
残念ながら高カロリーな「牛タン」ですが、美容にも健康にも大切なビタミンとタウリンなどを多く含むことから”ヘルシー”なのは本当のことのようですね。

「牛タン」が日本で広まった理由

「牛タン」といえば仙台名物とイメージされる方も非常に多くいらっしゃるかと思いますので、掘り下げてみたいと思います。


仙台が「牛タン」発祥の理由
仙台名物「牛タン」が生まれたのは第二次世界大戦後にGHQが仙台にも進駐したことで、牛肉を大量消費する在留米軍が食べずにいた牛の舌と尾を有効活用しようと1948年(昭和23年)に仙台の焼き鳥店「太助」初代当主 佐野啓四郎さんが、牛タン焼きとテールスープを開発し”牛タン定食”として当時の日本人に合わせ定食屋を開業したことがキッカケです。 参照:Wikipedia


実はタン焼きより以前に洋食メニューが生まれており、それは仙台空襲後に富裕層だった進駐軍をメインターゲットにしていた当主がフランス人シェフの影響でタンシチューを開発し、その応用で考案されたものがタン塩焼きです。

■当時の食糧難や米不足を反映し麦飯

■冷蔵庫普及前の時代に貴重だった生野菜代わりの浅漬け

■当主の出身地山形県の伝統料理の味噌南蛮

■エネルギー革命前で都市ガス普及前(燃料不足の理由含む)だったため炭火焼のタン

■和製ハーブのネギで臭みをとったテールスープ
”牛タン定食”のお決まりのメニュー構成はそんな時代背景から生み出されたもので、どこの店舗でも同じメニュー構成なのにはそんなルーツへのリスペクトがあるようで素敵ですね。ちなみに炉端焼きも同様の理由で生まれ、その後焼肉などでもおなじみの顔ぶれとなりました。

「牛タン」が人気になった理由
外食産業を目的に当主のアイディアで生まれても長い間、珍味やシメとして一部愛好家やよった客層にウケるのみでしたが…大きく流れが変わったのは高度経済成長期を迎えてからのことです。


元々家庭料理でもなかったこともあり地元民にも人気が出なかったものの

■転勤・単身赴任・出張客がランチや夜の街で食べ、帰ってから噂を広めた東京のサラリーマンの間で評判になった

■高タンパク低脂肪とメディアで取り上げられたことで全国区になった

■それらの影響で観光客にも広まり外食も一般的になった

そんなこんなで地元民にも広く愛されるようになった「牛タン」です。
最大の転機は1980年代半ばにオーストラリア産の骨皮付き牛タンからアメリカ産牛タン(ムキタン)が主流になったことで、混同されがちな有名ブランド牛”仙台牛”使用はごく一部の高級店のみで、ほとんどがアメリカ産&オーストラリア産です。

世界の「牛タン」事情


日本では焼肉・定食・ジャーキーや佃煮などお酒のつまみ系など少し特別感のあるものが多いように思いますが、他の国について調べてみるとそれぞれルーツや食べ方などは異なるものの、意外にも世界中で広く食べられている「牛タン」です。

スパイシーで美味しいメキシコ料理タコスやブリトーの具材などにも広く使用され、北米ではオープンサンドのメイン具材だったりするほか、ベルギー・ポーランド・ドイツ・オーストリアブルガリアルーマニアポルトガルペルシャインドネシア・フィリピン・アルバニア・イギリス・ロシア・中国・朝鮮・イタリアなどでも煮たり焼いたり様々な味付けや調理法で料理され一般的に食べられていることがわかりました。 (参考資料:Wikipedia
元々農耕民族で島国の日本で食肉文化(牛や豚などの通称”四つ足”)が広まってまだ歴史が浅いですが、狩猟民族であったり古くから食肉文化の定着した海外では古くから愛されている食材のようですね。


今回のキッカケになった「牛タン」の有名店

焼肉&定食などで何度も味わっていた”牛タン”でしたが、たまたま機会があり”利休の牛タン定食”を食べたことが今回のキッカケでした。


「牛たん炭焼利休」は株式会社利休(昭和63年創業)が宮城県仙台を中心に全国展開する老舗の牛たん専門店で、飲食店のほかにインターネット通販や駅弁、百貨店などで開催される物産展などでも人気が高いメジャーな”牛タン”ブランドの一つです。

調べてみると”北は北海道から南は九州の鹿児島県まで”なんと45店舗もありましたので、チェックいただけるようリンク貼っておきますね↓

http://www.gnavi.co.jp/rikyu/

せっかくなので公式サイトもリンク貼っておきますね↓

https://www.rikyu-gyutan.co.jp/corpo/about.html
ちなみに社名は創業者が創業当時に放映されていた映画「千利休」をご覧になり、その生涯に感銘を受けられたこと&ご自身の名前にも「利」の文字が入っていたからで、会社の繁栄を願ってか「休」の字を永久の「久」に変えたことが由来だそうです。(参照元企業インタビュー記事

まとめ

いかがでしたでしょうか?
現代とまったく異なる敗戦下の時代に様々な困難の中で生み出された日本の牛タン料理ですが、ルーツを知ることでなんだか愛おしく感慨深くもあり、令和の今も日常食ではありませんが食べる際には心していただきたくなりますね。

元々うーっすら知ってはいたものの、本当かどうか自信がなかったので周囲の博識な友人知人&ウィキペディアなどインターネットの力も借り、しっかりと知識を得られ個人的にも良い機会でした。

 

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