ひな祭りは女の子のための日だけど、美味しいご馳走を食べるため?

3月3日は桃の節句(ひなまつり)で、女の子のお子様がいらっしゃるご家庭は何かと準備に大忙しなのではないかと思います。




ひな祭りといえば

🌸雛人形や関連するタペストリーなどを飾り付ける

🌸桃のお花を家中に生ける

🌸晴れ着に着替えおめかしする

🌸ちらし寿司・鯛の姿焼き・はまぐりのお吸い物・白酒・ひなあられ・桜餅・菱餅・ケーキなどを食べる

🌸家族や友人を集めてパーティー

など、とにかく盛大にお祝いするハレの日イメージがありますが、ルーツやその意味を知らないのは私だけじゃないと思います。

 

そこで今回は

  1. ひな祭り&雛人形ってどんなルーツがあるの?

  2. 雛人形を早く出して早くしまうと良いって本当?

  3. 定番のご馳走に意味はあるの?


を調べてみました。



1. ひな祭り&雛人形ってどんなルーツがあるの?

大昔から女の子のために壮大なスケールで世界観を描いた人形セットを飾ってお祝いして訳ではないようです。


平安時代の京都で旧暦3月3日(現在の4月で桜がキレイに咲く頃)貴族の女の子の雅な遊び「ひなあそび」として、小さな御所風のドールハウスを飾っていた説&儀式として、紙人形を川に流し穢れ払い(上巳の節句)を行い厄除けや守り雛に祀られるようになった説など、諸説あるようです。

江戸時代に複数の諸説がマリアージュ
安土桃山(織田信長豊臣秀吉織豊時代)の天正以降、3月の節句(お祓い)に雛祭りが行われていましたが、江戸時代になってから女の子の雅な遊び(飾り物)&節句の儀式(一生の厄災を人形に身代わりさせる祭礼)が合わさり全国に広がりました
やんごとなき方々の浮世絵離れした品に
今のような段飾りではなく紙人形の名残ある「立雛」&座った「座り雛」どちらも内裏雛(お内裏様&お雛様)のみでしたが、武家出身など高貴な女性の嫁入り道具の一つとして選ばれるようになったため、豪華絢爛になりました。
浮世絵離れは政策すら一蹴
江戸幕府の倹約政策(御触書宝暦集成)で一時制限(現代数値で約24cm以下&蒔絵NG)されるまで精巧さ&贅沢さは加速し続け、金屏風(金箔張り)に十二単装束の「元禄雛」&大型人形「享保雛」などを並べ、制限後はより精巧さを極めたミニサイズの「芥子雛(けしびな)」が流行り、贅沢品に変わりありませんでした。
現代の姿に
江戸時代後期に「有職雛(平安貴族&そのルール制定に集まる有識者たちを再現した雛人形)」が生まれたことで、次第に従者(お囃子・官女・随人・仕丁など)・嫁入り道具・台所・小道具などの今では定番の段飾りやセット販売の「古今雛」につながります
皇后陛下の影響で内裏雛の並び方が変わった
今でも地域によって並び方に正誤はありませんが、明治時代の文明開化で西洋化が進む中行われた即位式大正天皇が向かって右側に立ったことでスタンダードとなり、昭和天皇の左側に香淳皇后が並んだため、お雛様も右にお内裏様&左にお雛様の配置が一般的になりました
時代とともに庶民にも普及しながら、明治以降にグレゴリオ暦の現在の3月3日に「ひな祭り」が行われるようになり、皇后陛下の影響で内裏様の配置も変わりました。


2. 雛人形を早く出して早くしまうと良いって本当?

「お雛様は早くお飾りして、3月3日を過ぎたらなるべく早くしまわないとお嫁に行けません」と教えられた方も多いかと思います。


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(旧暦の場合)梅雨間近で早く片付けないとカビや虫食いダメージを受けてしまうことを考慮して、昭和初期に作られた俗説が広がっただけで、根拠がないようです…。

一般的なお雛様は木製のふっくらタイプ&わら製の細面タイプどちらかで、お着物や小物類に絹などデリケートな素材が使用されている=湿気や害虫の影響を受けやすいので


✅飾っている期間によく風通しする

✅お片付けはなるべく天気の良い日

✅防虫剤をしっかり同封する

ことの方が大切かと思います。


💡地域によっては春の風物詩をいつまでもだらしなく飾ったままにしないよう、躾の側面もあってこのフレーズが使われることもあるようです。

あくまで高価な人形をキレイに長く保つために興味関心を引き付ける目的なので、お雛様を持っていなかったり、多忙で早々に片付けられず不安に思っていた方も安心してくださると嬉しいです。


3. 定番のご馳走に意味はあるの?

冒頭で触れたケーキはきっとハレの日に便乗したものかと想定されますが、他は何となく伝統的イメージを抱きます。


もともと雅なお子様向けだった&おせち料理のように縁起物として、ちらし寿司・蛤や鯛料理・菱餅・ひなあられなどの雛料理が定着したのは江戸時代以降です。

ちらし寿司
ルーツは諸説ありますが、魚に米を詰めて発酵させた独特の匂いを放つなれ寿司(ならずし)が派生したもので、江戸時代から混ぜ込み寿司(ばら寿司)になった説もあります。


もともと関東圏ではあまり根付いていなかった資料も見ますが、語呂合わせやゲン担ぎの意味合い&彩り豊かで手軽な材料で華やぐため定着したのが自然に思えます。


✅蓮(レンコン)

人生の先行きを見通せるように

✅豆

マメに人生を遂げられるように

✅海老

不老長寿

蛤や鯛料理
ルーツは諸説ありますが、江戸時代頃から語呂合わせやゲン担ぎの意味で様々な調理方法で食べられています。

✅蛤
一対以外は合わないため良縁祈願・夫婦円満貞操観念を持ち合わせるように(二枚貝は女性を表します)

✅鯛

おめでたいの語呂合わせ・古くから赤=縁起が良いとされたため

その他にカレイが使われることもあり、これも華麗な人生を歩む&華麗なる変身を遂げる(美貌)などの語呂合わせです。

白酒
室町時代からひな祭りに飲まれていた桃の花を浸したお酒が江戸時代に変化して以降定着しました。


お正月のお屠蘇(おとそ)のように、大昔は子供にもアルコールが含まれたものが提供されていましたが、時代とともにノンアルコールで甘い白酒風ドリンク(甘酒)になりました。


✅甘酒

ご飯やおかゆに米麹を入れてデンプンを糖化させた、ほぼアルコールが含まれていないもの

✅白酒

焼酎やみりんに蒸したもち米&麹を入れ、1ヶ月ほど熟成させてからすりつぶした日本の酒の日本酒の一種ですが、今の時代の酒税法でいうとリキュール類です。


現代の法律で未成年の飲酒NGのため、ひな祭りコーナーには可愛らしい子供向けパッケージで、アルコールゼロのみ並んでいます。

菱餅
今の菱形になったのは江戸時代からで、形や色に意味があります。


菱形

大地・菱の繁殖力の高さから子孫繁栄祈願・菱の実で千年生きた仙人にちなんだ・宮中正月料理のはなびら餅など、ルーツは諸説


解毒作用のあるクチナシで色付け健康祈願&厄払い・先祖を尊ぶ・桃の花をイメージ


血圧低下作用のある菱の実を入れる・清らかな残雪をイメージ


造血作用のある蓮(以前は母子草)の草餅・春先の新芽で穢れを祓う・萌える若草をイメージ

ひなあられ
江戸時代に硬くなった菱餅を砕いて作られていたのがはじまりでしたが、黄色を足した(薄めたクチナシや紅花など諸説)4色で四季を表して、一年の無病息災を願い食べられます。


✅春(緑)

✅夏(赤)

✅秋(黄)

✅冬(白)

桜餅
ひま祭りにぴったりで春の季節を表す和菓子ですが、残念ながらひな祭りに何ら関係性のあるお菓子ではありません。

✅ピンク色×緑色で、ひな祭りにピッタリな色合いでそれっぽかったから

✅時代が変わり菱餅のありがたみが薄れ、甘くて美味しかったから
ちなみに苺大福も雛まつりの関連食品のように扱われることもありますが、同じ理由で選ばれているものと思われます。

ケーキ
洋菓子なので調べる前から察しはついていましたが、ひな祭りに何ら関係性のあるデザートではありませんでした。

✅ひな祭り=祝い行事=おめでたい=ケーキ

✅少し前まではケーキ=特別なイベントでしか食べられないものだったため

✅その場にパッと華を添えられ、豪華さも増すから
クリスマスケーキと同じ理由かと思いますが、どうにかして特別感を表現して祝いたいと願う、親から子への一つの愛情の表れなのだと思います。


おわりに

いかがでしたでしょうか?
キレイなお人形やお花を見ながらみんなでご馳走を囲むだけの日ではなく、女の子の健やかな成長と幸せを願う、愛情たっぷりでとても素敵なお祝い行事の日だったのですね。

時代が変わり特別な身分でなくても楽しめるようになりましたが、この幸せを一途に願う姿はずっと変わらないようですね。

年に一度のそれぞれの素敵なひな祭りを存分に楽しみたいですね。



ご覧下さりありがとうございました!

See you later!